「キン肉マンカーニバル2019」リポート!

キン肉マン愛に溢れる、正義バンドたちがここに集結! キン肉マン40周年を記念した、音楽イベント「キン肉マンカーニバル2019」がついに開催。チケットは速攻でソールドアウト。当日はまさかの雪模様にも関わらず、会場は開演前から熱気むんむん。ロビーに飾られた等身大キン肉マン像やずらり並んだキン消し、ロビンマスクのマスクなど貴重な展示物には長蛇の列が出来て、オフィシャルグッズショップも大盛況!
フロアに入ると、ステージではDJステカセキングが観客を煽って盛り上げ、イベントへの期待は高まるばかり。 
 
そして、いよいよ開演。♪牛丼一筋、300年!と歌いながらステージに登場したのはキン肉マン! 「お前たち、盛り上がってるかぁ~~!? 最後まで火事場のクソ力で盛り上がっていけるか~!?」と煽ると、テンション上がった観客が「ウォ~~~!」と怒号に近い声で応える。オープニングアクトとして、「まずはこの男の登場だ!」とキン肉マンが呼び込んだのはアニソンの帝王、串田アキラ! 「炎のキン肉マン」を熱唱する串田にワァッと波のような歓声が湧き、フロアに自然と大合唱が起きる。歌い終えた串田は「キン肉マン! 40周年おめでとう! 君たちは100万パワー、いや1億パワーだ!」と笑顔を見せると、「キン肉マンカーニバル!」とキン肉マンと声を合わせてタイトルコール。「炎のキン肉マン」に乗せて、キン肉マンの名シーンが綴られていく、めちゃくちゃカッコいいオープニング映像が気持ちを煽り、ついにイベントが本格スタート!

 

トップバッターはこの日だけ、“肉星球”と名前を変えて登場した四星球! ラーメンマンの格好をした北島康雄(Vo.)が登場し、「キン肉マン40周年おめでとうございます!」とお祝いの言葉を告げると、「今日はキン肉マンのキャラがお祝いに来てくれてます」と、ウォーズマンに扮したU太(Ba.)、ケンダマンに扮したまさやん(Gt)がステージに登場し、テリーマンに扮したモリス(Dr.)はハンバーガーに乗ってフロアから登場! 全員がステージに揃い、「運動会やりたい」で幕を開けた肉星球のステージ。キン肉バスター対決、サークル勧誘モッシュ、YMCA対決で会場中を巻き込んで観客と共犯関係を結ぶと、「クラーク博士と僕」で序盤からクライマックスを生む。「鋼鉄のダンボーラーまさゆき」のまさやんのギターソロ、「モスキートーンブルース」のU太の重厚なベースやモリスのどっしりしたドラムと、悪ふざけと同時にバンドとしての見せ場もしっかり作った肉星球。MCで「死んだ後も歌い継がれるような歌を歌って、来世で聴いた時に笑いたい」とバンドや曲への想いを少し真面目に語った北島は、続く「Mr.Cosmo」でステージに現れた巨大UFOの中からキン骨マンの格好で登場! ロックバンドとしての誇りや熱さとカッコいい部分もしっかり見せつつ、ちゃんとオチを付ける肉星球とキン肉マンを重ねて見ていると、ステージになんとアシュラマンとサンシャインが乱入! さらにステージをめちゃくちゃにしようとする悪魔超人を制止すべく「ここはお前らが来るところじゃない!」と、キン肉マンやウォーズマンら正義超人も登場!! 見事、悪魔超人を撃退した正義超人は、北島と共にステージを降りてUFO呼びでフロアを盛り上げる。この日ならではのスペシャルな演出に、観客は大盛り上がり! 「だってオラ、人間だから」とジェロニモの名台詞も飛び出した「妖怪泣き笑い」では「キン肉マンを胴上げしましょう!」と巨大キン肉マン風船がフロアに投げ入れられ、妖怪ジャンプに合わせてキン肉マンが宙を舞い、ラストは「その姿を見るだけで少年の心に戻れるような、キン肉マンみたいなバンドになりたいです」と北島が語り、大きな夢を歌った「HEY HEY HEY!に出たかった」を熱唱。毎回、趣向を凝らした演出で楽しませてくれる四星球だが、肉星球としての贅沢すぎるライブはこの日限り! 女房を質に入れてでも観るべき貴重なステージとなった。
 


SEが流れるやフロア中にタオルが上がり、熱狂的な歓声の中で登場したのは10-FEET。「行こうか、ぶっ飛ばすぞ!」とTAKUMA(Vo./Gt.)が告げ、ヘヴィなイントロで「RIVER」が始まると、フロア中が突き上げるように声を上げ、拳を挙げる。フェス最強と言われ、全国のフェスやイベントを沸かせてきた百戦錬磨の10-FEET。1曲目から完全に自身の空気を作ると、「1size FITS ALL」でさらにフロアを勢いづけ、かき回す。TAKUMAとNAOKI(Ba./Vo.)の息の合ったツインボーカルとKOUICHI(Dr./Cho.)の軽快なビートで聴かせた「MONKEY」で観客の笑顔を生むと、フロアに吠声のような合唱が起きた「VIBES BY VIBES」で観客と気持ちを繋ぎ、友情パワーで会場に熱気が立ち込める。「10-FEETです。ライブ見て、いいなと思ったら好きになって下さい。どうせやったら、みんなでワッと盛り上がりたいので全力でやります」と短い挨拶を挟むと、キン肉バスター級のキラーチューン「1sec」で再びフロアを沸かせ、ライブバンドとしての強さと超人パワーの高さを見せる。MCでは「あれ? ジェロニモおるで?」と、ステージ前にいるジェロニモの存在に気付いたTAKUMA。ステージ上に上がってきたのは、ジェロニモに扮したTHE冠! ステージに上がると「あ、ジェロニモです。ウララ」と申し訳なさそうに挨拶し、TAKUMAが大爆笑。さらに“アパッチの雄叫び”をリクエストされると、♪ウララ~~アァ~アァ~! とメタル調のハイトーン雄叫びを披露し、しっかり笑いを取って去っていくジェロニモ。TAKUMAが「キン肉マン世代の人?」と観客に話しかけたりとキン肉マンネタは続き、♪私は(ドジで)強い(つもり)と、「キン肉マンGO! FIGHT」のコール&レスポンスで盛り上がると、「人にはそれぞれ色んな正義がある」と披露した「太陽4号」、「その一言が一人の人生を変えたりするから、大切な時にはビシッとキメようぜ」と披露した「蜃気楼」とシリアスな曲が続き、一人ひとりに向けて熱いメッセージを届ける。これらの曲を聴きながら、僕は普段はドジで情けないけど、地球の平和や自分の正義、そして仲間を守るため、キメる時はビシッとキメるキン肉マンの姿を思い浮かべていた。考えてみれば、愛と正義と友情パワーを武器に全国のステージで戦い続ける10-FEETも、まるでキン肉マンのようじゃないか。「コンプレックス、虐待、いじめ……大変なことは色々あるけど、ぶっ飛ばすしかないやんか。色々あるけどちょっとずつ変えていこうや」と始まった「その向こうへ」で日々の生活を戦う仲間にエールを送ると、ラストは感傷的な「ヒトリセカイ」で聴く者の心を強く揺さぶってカッコ良くフィニッシュ! と思いきや、「持ち時間、あと2分ある! 2分で出来る曲!」と「back to the sunset」を駆け足で披露し、慌ただしく終幕。カッコ付けたまま終われないラストに、僕は超人オリンピックで優勝した後、胴上げされながら「ワシはどうやって勝ったんだ?」ととぼけるキン肉マンが重なって見えた。
 


続いて、リングアナのオッキー沖田がステージに登場し、始まったのは東京ダイナマイト ハチミツ二郎、ハリウッドザコシショウ、串田アキラ、そしてゆでたまご嶋田先生を迎えてのキン肉マントークのコーナー。それぞれ好きな超人、思い入れのあるシーン、もし超人になれるなら誰が良い? など、キン肉マンに関するテーマトークが続き、それぞれ愛情たっぷりにキン肉マンを語ったこのコーナー。「戦わせてみたい超人は?」のテーマに、嶋田先生が「あえてやっていないのは、キン肉マンvsテリーマン。この対決に決着を付けるのは、最終回かも知れない」と答え、「おぉ~~!」とどよめく会場。ハチミツ二郎は「カッコ悪いことも続けていけば、カッコいいっていうのをキン肉マンから教わった。でも、今日のお客さんはそれを知っている。カッコ良さよりも伝えたいことがある人ばっかりじゃないですか?」と語り、観客から大きな拍手を受ける。そうか、僕らは「本当のカッコ良さとは?」ということを、キン肉マンから自然と学んでいたのだ。
 


そして、いよいよ大トリ。「超人オリンピック、開幕です!」と山口隆(Vo./Gt.)が叫び、始まったのはサンボマスター! 軽快なビートでフロアを踊らせ、大合唱を起こした「世界を変えさせておくれよ」でライブが始まると、木内泰史(Dr./Cho.)と近藤洋一(Ba./Cho.)の骨太なビートと山口の掻き鳴らすギターが友情パワーで三位一体となった強烈なサウンドで圧倒した「青春狂騒曲」が会場を揺らす。「おらぁ、とんでもねぇものを見ちまっただぁ!」と与作もおののく風景に、「最高じゃねぇか、全員が一体となって、火事場のクソ力で優勝しましょうよ!」と笑顔を見せた山口。「ミラクルをキミとおこしたいんです」、「ロックンロール イズ ノットデッド」と続き、<何度だって立ち上がるんだよ>の歌詞に「バッファローマンと戦った時、悪魔将軍と戦った時、キン肉マンは恐ろしくて仕方なかったと思うんだ。それでも立ち上がったぞ? 何度だって立ち上がるんだ、キン肉マンみたいに!」と山口が熱弁。たっぷり気持ちを込めた歌と演奏に会場中が釘付けになった「ラブソング」、<あなたと生きたい>の激情的なメッセージが胸に直接響いた「あなたといきたい」と続き、愛と優しさが満ち溢れ、聴く者の心を震わせる人間味に溢れた彼らのステージに、僕は激しい戦いの中に愛と優しさが満ち溢れ、そこから友情と信頼関係が生まれるキン肉マンの激闘を重ねていた。サンボマスターと観客の間にも友情と信頼関係が生まれる中、「お前らの必殺技出してみろ! お前らなら出来んだろ?」と始まった曲は「できっこないをやらなくちゃ」。フロア中に拳が上がって大きな盛り上がりを見せる観客に<今世界にひとつだけの 強い力をみたよ>と歌う山口。そして、サンボマスターの必殺技“ラブ&ピース”が炸裂したのは、「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」。愛と平和コールで会場中が一体となって湧き上がる天井知らずのエネルギーは、まさに火事場のクソ力! 最後に「会社の上司とか学校の先輩とか、本当の残虐超人っているんだよ。負けんなよ、負けそうになったらライブハウスに来てくれよ。自分のこと信じてくれよな」と熱いメッセージを届け、歌いだしたのは「輝きだして走ってく」。<大丈夫 乗り越えられる くじけないで笑っておくれ>の歌詞は力強く前向きで、聴く者に勇気と希望を与えてくれる素晴らしいステージは「キン肉マンカーニバル2019」を締めるのに相応しいものだった。
 


エンディングは出演者が全員ステージに登場し、串田アキラが歌う「キン肉マンGO! FIGHT」を会場中で大合唱! 最高に楽しくピースフルエンディングに出演者にも観客にも笑顔が溢れる中、キン肉マンが「長かった戦いよ、さらば!!」と名台詞を決め、「屁のつっぱりはいらんですよ!」と言葉の意味はよく分からないが、とにかく凄い自信で「キン肉マンカーニバル」は終演。<心に愛がなければ スーパーヒーローじゃないのさ>の歌詞通り、愛に溢れたスーパーヒーローたちが作り上げた、最高の一夜となった。
https://10-feet.kyoto/
 
http://www.sambomaster.com/
 
http://su-xing-cyu.com/
 

ゆでたまご嶋田隆司×サンボマスター

 
――キン肉マン40周年記念イベント「キン肉マンカーニバル2019」に出演するサンボマスター。まずはイベント出演のオファーを受けての感想はいかがでしたか? 

  • 山口 それは光栄ですよ。僕らにとってキン肉マンって、誰かに「読め」とか言われる前から自然と近くにあったものですから。 
    近藤 キン肉マンが40周年、僕らが物心付いた時には連載始まってましたし、アニメもやってましたし、パチンコやるようになったらパチンコ屋にもありましたしね(笑)。 
    木内 29周年の時に「肉萬」って出たじゃないですか? あの本にも僕らのコメントを掲載していただいて。「小学校の頃からずっと読んでたキン肉マンと僕の人生が繋がる日が来るとは……」と思って感動したんですけど。40周年のイベントも呼んでいただいて、先日はゆでたまご先生の忘年会にも呼んでいただいて、本物のアデランスの中野さんにお会い出来たりして。本当に光栄です。 
    嶋田 いえいえ、こちらこそ本当にありがとうございます。

 
――嶋田先生はサンボマスターのことはご存知でした?

  • 嶋田もちろん知ってます。Twitterでも繋がってますし。
    山口 僕はキン肉マン大好きだから、BEAMSがコラボしたTシャツを着てフェスに出たり、NEW ERAがコラボしたキャップを普段からかぶっていたりして……なんで今日、かぶってこなかったんだろうと思って後悔してるんですけど(笑)。
    嶋田 だから接点はたくさんあったんですけど、こうしてお会いしてお話をするのは初めてですよね。

 
――イベントはサンボマスター、10-FEET、四星球という、キン肉マンを想起させる強くてカッコ良くて面白いメンツが揃いました。

  • 山口 そうですね。この日の出演者もそうですけど、僕らの世代はみんなキン肉マンが好きなんじゃないですかね? 特別な存在だと思うんですよね。クラスに「ラーメンマン=97万パワー」とか、なんでも知ってるヤツが必ずいたし(笑)。 
    近藤 僕は子供の頃、廃品回収で近所を回って、ドサッと捨てられたジャンプでキン肉マンを読むのがすごい楽しみで。 
    嶋田 みなさんの世代でもそういう思い出あるんですね。僕らも廃品回収で出た少年マガジンとか、少年キングとか、エロ本とかをもらってきて読んでました(笑)。 
    木内 僕は小学生の頃、国語の授業で先生が黒板に〝完璧〟って書いて。「これ読める人」って言った時に、「パーフェクト」って自信満々に言ったことありますからね。完全にキン肉マンの影響です。 
    嶋田 あっはっはっは。そっちの方が正しいです(笑)。

 
――キン肉マンのファン層が小さい子にまで広がったのは、アニメ化されたのが大きかったんですか? 

  • 嶋田 アニメとキン消しですね。連載当時から、小学生には人気あったんです。当時のジャンプって小学生に人気のあるマンガが少なくて、売上が停滞していた時期があって。「子供に人気の出るマンガを入れよう」ってテコ入れでキン肉マンが始まって。小学校5年生くらいに圧倒的な人気が出て、キン消しが発売されて、アニメが始まって、小学校低学年や幼稚園生も見るようになって。 
    山口 僕はアニメが先なのか、マンガが先なのか、分からないくらい自然に生活の中にあったんですけど。上級生がジャンプを読んでて、王位争奪編の時に「キン肉マン負けたぜ」とかネタバレして、「え、負けたの!?」ってショックを受けたり。「いま、ミートくんが戦ってる」って話だけ聞いて、すごいショックを受けたし、意味が分からなかったし。キン肉マンは俺にとってショッキングなことがすごく多くて。「超人強度1000万パワー」って最強だと思ってたんだけど、キン肉マンスーパーフェニックスは1億パワーとか言って。 
    嶋田 あはは、そうですね(笑)。 
    山口 「キン肉マン、絶対勝てないじゃん!」と思って、それも凄いショックだったし。 
    近藤 〝超人強度〟って、強さを数値化するって表現の一番最初ですよね。その後、ドラゴンボールもワンピースもそうでしたけど、少年ってああいう数値とかにワクワクするし、それがいまも脈々と続いてるんですよね。 
    山口 ウォーズマンの100万パワーでびっくりしてたのに、バッファローマンは1000万パワーですからね! 95万パワーのキン肉マンがどうやって勝つんだろう? と思って。 
    嶋田 〝超人強度〟ってのは、「超人の強さを戦い以外でどうやって見せようか?」ってところで、編集者が「数値化するのが良いんじゃないか」ってアイデアを出して。超人によって細かく刻んでいったら、担当者が驚いて「なんでそんなに刻むんですか?」っていうから、「いや、絶対これを全部覚えてくれる子供がいますから!」って。 
    山口 火事場のクソ力が7000万パワーとか、いちいち覚えましたよ。 
    嶋田 ね?(笑) だから、そう言ってもらえると嬉しいんです。 
    山口 キン肉マンってあまり強いヒーローじゃなかったじゃないですか? あれが子供たちには良かったんじゃないかな? と思って。豚と間違えられて、宇宙船から捨てられたとか、子供心にたまんなかったんですよね。 
    嶋田 でもそうですね。キン肉マンって、ロビンマスクに勝っても、ウォーズマンにビビっておしっこちびったり、バッファローマンにビビって、またおしっこちびったり、そのたびにスタートに戻るんですよね。最近、無双なキャラが多いですけど、キン肉マンって決して無双じゃないんですよ。____________

    取材・文 フジジュン
    続きはイベント当日配布されるパンフレットで!